都環境のEV・PHV充電設備評価とは?必要台数・図面の確認ポイント

NEW 2026年10月23日 都環境コラム

都環境ではEV・PHV充電設備も確認項目になります

東京都建築物環境計画書、いわゆる「都環境」の作成をしていると、設計者から意外と質問が多いのがEV・PHV用充電設備です。「駐車場に充電器を1台付ければ大丈夫ですか?」「将来用の空配管だけでも台数に入りますか?」と聞かれることがありますが、現在の制度ではもう少し細かく確認する必要があります。

特に2025年4月以降は、新築建築物について電気自動車充電設備の整備基準が設けられています。ここで重要なのは、実際に充電できる設備を整備する区画数と、将来充電設備を増設できるよう配管等を整備しておく区画数の両方を確認することです。

私が都環境の申請図書を確認する際も、最初に駐車台数を見て終わりにはしません。専用駐車場なのか共用駐車場なのか、どの区画へ実際の充電設備を設置するのか、将来用の配管等をどこまで準備するのかまで整理してから取組・評価書へ反映しています。

「専用駐車場」と「共用駐車場」を分けます

EV・PHV充電設備の必要台数を計算するとき、一番最初に確認するのが駐車場の使われ方です。都環境では、大きく「専用駐車区画」と「共用駐車区画」に分けて考えます。

専用駐車区画とは、特定の車両が使用する駐車区画です。例えばマンションの月極駐車場、テナント専用駐車場、事業者が自社車両を駐車する区画などが該当します。一方、共用駐車区画は特定の車両へ固定されず、不特定または複数の利用者が共用する駐車区画です。

ここを間違えると必要な充電設備台数そのものが変わってしまいます。そのため弊社では、配置図や駐車場平面図だけでは用途が分からない場合、「この駐車場は月極ですか」「来客用ですか」「店舗利用者と共用ですか」と設計者へ確認しています。
「駐車場30台」とだけ書かれた図面では、都環境のEV充電設備の判定には情報が足りないことがあります。

専用駐車場は5区画以上から整備基準を確認

専用駐車区画については、5区画以上ある場合に充電設備の整備基準が適用されます。実際に充電設備を設置する区画は、専用駐車区画数の20%以上です。計算結果に小数点以下が出た場合は切り捨て、実装する充電設備については最大10区画が上限となります。

さらに、専用駐車区画数の50%以上について、充電設備を将来設置できるように配管等を整備します。こちらも小数点以下は切り捨てで、上限は25区画です。この50%には、すでに充電設備を設置する区画も含まれます。

専用駐車区画充電設備を設置する区画配管等を含めて準備する区画
5区画1区画2区画
10区画2区画5区画
12区画2区画6区画
20区画4区画10区画
30区画6区画15区画
50区画以上最大10区画最大25区画

例えば専用駐車場が12区画ある場合、12×20%=2.4なので、実際の充電設備は2区画必要です。一方、配管等については12×50%=6区画となるため、充電設備を設置する2区画を含めて6区画分の準備が必要です。つまり、実務上は「充電器2区画+将来用配管等4区画」という整理になります。

この50%の考え方を見落とすケースがあります。「充電器を20%付けたから終わり」ではありません。将来EVが増えたときに追加設置できるよう、配管等まで設計しておくことが現在の制度では重要です。

共用駐車場は10区画以上で1区画以上の充電設備が必要

共用駐車区画の場合は計算方法が異なります。共用駐車区画が10区画以上ある場合、少なくとも1区画以上に充電設備を整備します。さらに、駐車区画数の20%以上について、充電設備の設置に必要な配管等を整備します。配管等の整備数は最大10区画で、実際に充電設備を設置する1区画もこの中に含まれます。

例えば共用駐車場が20区画ある場合、充電設備は最低1区画です。配管等については20×20%=4区画なので、充電設備1区画を含めて4区画を整備します。実務上は「充電設備1区画+将来用配管等3区画」という形になります。

共用駐車区画充電設備を設置する区画配管等を含めて準備する区画
9区画以下整備基準の対象外整備基準の対象外
10区画1区画2区画
20区画1区画4区画
30区画1区画6区画
50区画以上1区画最大10区画

専用駐車場と共用駐車場では基準がかなり違います。そのため駐車台数だけを見て必要台数を出すのではなく、「誰が使う駐車場なのか」を先に整理する必要があります。

「充電設備の整備基準」と「都環境の評価」は分けて考えましょう

ここは設計者からすると少し分かりにくい部分です。現在の都環境では、必要な充電設備を設けるという「整備基準」と、その取組を段階1・2・3で示す「環境評価」があります。

専用駐車場の場合、必要な実装整備基準に対して何倍の充電設備を整備したかによって評価が変わります。基準の1倍以上2倍未満で段階1、2倍以上3倍未満で段階2、3倍以上で段階3となります。

例えば専用駐車場が10区画なら、最低基準は2区画です。2~3区画なら段階1、4~5区画なら段階2、6区画以上であれば段階3という考え方になります。

一方、共用駐車場では、充電設備を1~2区画整備すると段階1、3区画で段階2、4区画以上で段階3となります。

駐車場段階1段階2段階3
専用駐車場基準の1倍以上2倍未満2倍以上3倍未満3倍以上
共用駐車場1~2区画3区画4区画以上

ここで重要なのが、将来用の配管等を多く整備しても、段階評価がその分上がるわけではないという点です。評価は実際に充電設備を設置する区画数をもとに行います。配管等は整備基準を満たすために必要ですが、充電器そのものと同じ評価にはなりません。

マンション環境性能表示では充電設備の評価にも影響します

住宅用途、特にマンションの場合は、EV・PHV用充電設備の計画がマンション環境性能表示にも関係します。専用駐車場については、都環境の段階評価に応じて充電設備の星の数が変わります。

段階1なら★☆☆、段階2なら★★☆、段階3なら★★★という表示になります。マンション販売時にはこの表示が購入者の目にも触れるため、単に最低基準だけを満たすのか、充電設備を多めに設置して評価を上げるのかは、事業主と早めに決めておいた方がよい部分です。

一方、共用駐車場の場合はマンション環境性能表示上の扱いが異なり、「―」表示になります。このあたりは「設備を設置している=必ず星が付く」という単純な仕組みではないため注意が必要です。

実際の充電器だけでなく「将来用の配管等」が重要

私が都環境のEV充電設備関係で特に注意しているのが、将来用設備です。設計者から「今はEV利用者がいないので、最低限の1台だけ付けます」と言われることがありますが、制度上は実際の充電器だけではなく、将来増設するための配管等も確認します。

例えば専用駐車場20区画であれば、充電設備4区画に加えて、合計10区画まで増設できる準備が必要です。つまり残り6区画について、将来充電設備を追加できるようにしておきます。

この「将来設置できる状態」が図面から読み取れることが重要です。単に駐車場平面図へ「将来EV対応」と書くだけではなく、どの区画まで配管するのか、どの盤から電源を取るのか、配管経路をどうするのかまで整理しておくと申請がスムーズです。

配置図・駐車場平面図には区画番号を入れておきましょう

都環境のEV・PHV充電設備を確認する際、駐車区画番号があると非常に分かりやすくなります。例えばP01~P30のように区画番号を振り、「P01~P06は充電設備設置」「P07~P15は将来用配管」と整理できれば、電気自動車充電設備整備計画書との照合がしやすくなります。

反対に、図面には駐車枠だけが描かれており、申請書には「充電設備6台、配管15台」とだけ記載されていると、どの区画を指しているのか確認できません。東京都への提出図面は、計算結果と図面を照合できることが重要です。

弊社へ都環境の代行をご依頼いただく場合も、駐車場平面図に区画番号がない場合は、申請用に番号を整理していただくことがあります。

充電設備の位置だけではなく分電盤と配管経路も確認

EV充電設備について、建築側の平面図へ「EV充電器」と記載しただけでは、都環境の確認資料として十分とは限りません。電気設備図では、どこから電源を供給するのか、分電盤はどこにあるのか、どのルートで配線・配管するのかも確認します。

特に将来用配管を整備する場合は、駐車スペースの近くまで空配管を通したものの、分電盤側の将来接続を想定していないと、実際に後から充電器を付けることが難しくなります。

私が図面を見るときは、充電器の位置だけではなく、駐車区画→配管→分電盤→電源供給元がつながっているかを見ています。複数台の充電器を設置する場合は、電気容量やデマンド制御をどのように考えているかも確認します。

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単線結線図で電源容量を確認

充電設備は台数が増えるほど電気容量への影響も大きくなります。例えば普通充電器を複数台設置すると、すべてを同時に最大出力で使用した場合の負荷が大きくなるため、設備計画によってはデマンド制御を採用することがあります。

都環境の申請では、設置する充電設備の仕様書などから定格出力を確認できるようにし、必要に応じて送電系統図や単線結線図から電源供給元・供給容量を確認できる状態にします。

実務では建築図側だけ先に完成し、「EV充電器4台」と決まっているものの、電気設備設計にはまだ反映されていないことがあります。都環境の提出直前にこの状態が分かると、電気設備図の修正が必要になります。そのため、充電設備の必要数が分かった段階で早めに電気設備設計者へ共有しておくことをおすすめしています。

普通充電器・充電用コンセント・V2Hなども整理しましょう

充電設備といっても、普通充電設備だけではありません。充電用コンセント、普通充電器、急速充電設備、住宅用途であればV2H、住宅以外ではV2Bなど、複数の方法があります。

都環境の申請書では、それぞれの種類と区画数を整理して記載します。急速充電設備については、普通充電設備等に相当する区画数へ換算して評価する考え方もあります。

そのため「EV設備5台」とまとめるのではなく、「普通充電設備3区画、充電用コンセント2区画」というように、実際に何を設置するのか明確にしておく必要があります。設備仕様書の型番・出力と、平面図・電気設備図の記載が一致しているかも確認します。

機械式駐車場や荷さばき駐車場は単純に総台数へ入れない

駐車場が50台あるから、そのまま50台を基準に必要数を計算するとは限りません。案件によっては機械式駐車場、荷さばき用駐車場、来客用駐車場などが混在しています。

制度上、充電設備整備の算定対象から除外できる駐車区画もあるため、まず駐車区画の用途や形式を整理します。特に機械式駐車場が多い共同住宅では、「駐車場全体の台数」と「EV充電設備の整備基準で使用する区画数」が一致しない場合があります。

弊社で確認する際も、建築概要に記載された総駐車台数だけをそのまま使わず、平面図・駐車場計画から対象区画を整理しています。この確認をせずに必要台数を計算すると、後から台数を修正することになります。

敷地外の月極駐車場まで加算するわけではありません

建物によっては、敷地内の駐車場だけでは不足するため、近隣に月極駐車場を確保する計画があります。この場合でも、都環境の充電設備整備基準では、原則として対象建築物の敷地内に設置する駐車区画から必要な整備数を算定します。

設計者からすると「建物利用者が使う駐車場なら全部対象では?」と思うところですが、充電設備の整備義務を考える際には敷地内・敷地外を分けて確認する必要があります。

そのため弊社では、建築概要に記載された駐車台数と配置図上の駐車台数に差がある場合、その理由まで確認しています。

用途が混在する建物は駐車場の整理を早めに行いましょう

共同住宅+店舗、事務所+店舗、ホテル+商業施設などの複合用途では、EV充電設備の判定も少し複雑になります。住民専用、テナント専用、来客共用など、同じ敷地内でも駐車区画の使われ方が分かれるためです。

こうした案件では、建築設計がかなり進んでからEV充電設備の必要台数を出そうとすると、「この区画は誰が使うのか」というところから確認し直すことになります。

私が複合用途の都環境を確認する際は、駐車場平面図上で、住宅用、事務所用、店舗用、共用、荷さばきなどを先に色分けするイメージで整理します。そのうえで充電設備の必要数を算定した方が、取組・評価書や電気自動車充電設備整備計画書を作りやすくなります。

都環境の申請でよくあるEV充電設備の図面不整合

EV・PHV用充電設備については、計算そのものはそれほど難しくありません。むしろ申請実務で時間がかかるのは、図面同士の不整合です。

例えば、取組・評価書では充電設備4区画なのに駐車場平面図では3区画しか表示されていない、電気図ではEVコンセント5台なのに申請書は普通充電設備5台になっている、将来用配管10区画と記載しているのに配管経路が図面上5区画までしか確認できない、といったケースです。また、駐車台数そのものが配置図と建築概要で異なることもあります。

弊社では都環境の書類を作る際、単にExcelへ数字を入力するのではなく、配置図、駐車場平面図、電気設備図、単線結線図、機器仕様書を横断して確認します。EV充電設備は建築・電気・外構の3分野にまたがるため、担当者間で数字を揃えておくことが重要です。

完了時には「実際に整備された内容」で確認

都環境は計画書を提出して終わりではありません。工事完了時には完了届を提出するため、計画段階で記載した充電設備が実際に整備されているか確認します。

そのため、設計時には普通充電器4台だったものを工事途中で2台へ減らした、配管予定区画を変更した、といった場合には注意が必要です。変更後も電気自動車充電設備整備基準を満たしているか確認し、必要に応じて都環境の書類にも変更内容を反映します。

特にVEやコスト調整でEV設備が削減対象になりやすい案件では、「充電器を1台減らしても問題ないか」を金額だけで判断しないことが大切です。申請上の最低整備数を下回れば、単純な仕様変更では済みません。

EV充電設備は設計終盤ではなく駐車場計画時に確認した方がよいです

EV・PHV充電設備は、一見すると電気設備の話に見えますが、実際には建築計画の早い段階から確認した方がよい項目です。必要な充電設備数が分かれば、駐車位置、分電盤、配管ルート、電源容量、外構まで影響するためです。

特に地下駐車場や大規模共同住宅で、実施設計が終わってから「あと6区画分の配管が必要」と分かると、配管ルートや盤スペースを再検討することがあります。建築図が完成してから電気設備側だけで処理しようとすると、意外と大きな修正になります。

弊社では都環境のご依頼を受ける際、駐車台数が決まっていれば、図面がすべて完成していなくてもEV充電設備の必要数はある程度確認できます。まず必要数を把握し、その数字を電気設備設計へ渡してから実施設計を進める方が手戻りを減らせます。

都環境のEV・PHV充電設備は「台数」だけ見ないことがポイントです

都環境のEV・PHV充電設備について一番お伝えしたいのは、必要な充電器の台数だけ計算すれば終わりではないということです。専用駐車場・共用駐車場の区分を確認し、実際に充電設備を設置する区画、将来用の配管等を整備する区画を決め、さらに分電盤・電源容量・配管経路まで図面へ反映する必要があります。

実装設備については都環境の段階評価にもつながります。マンションでは環境性能表示にも影響するため、「最低限何台必要か」だけでなく、「事業としてどの評価を目標にするか」まで早めに決めておくと設計が進めやすくなります。

都環境の計算や書類作成は、項目単体では難しく見えなくても、最終的には建築・設備・外構の図面すべてを整合させる作業になります。EV充電設備もその典型的な項目の一つです。

東京都建築物環境計画書のEV・PHV充電設備確認もご相談ください

「この駐車台数の場合、充電設備は何台必要なのか分からない」「専用駐車場と共用駐車場が混在していて判定できない」「将来用配管をどこまで準備すればよいか確認したい」「都環境の提出前にEV充電設備の図面をチェックしてほしい」といった段階でもご相談いただけます。

当社では、東京都建築物環境計画書制度に必要な取組・評価書の作成だけでなく、電気自動車充電設備及び配管等整備計画書の作成、必要整備区画数の算定、配置図・駐車場平面図・電気設備図・単線結線図との整合確認まで対応しています。都環境は確認申請の直前にまとめて作るより、駐車場や設備計画がある程度決まった段階で一度確認した方が修正を減らせます。 図面がすべて揃っていない段階でも、現在の駐車計画から必要なEV・PHV充電設備数を整理できますので、お気軽にご相談ください。

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■対象となる建築主
提出義務:延べ面積2,000㎡以上の建築物の新築、増築又は改築を行おうとする建築主
任意義務:延べ面積2,000㎡未満の建築物の新築、増築又は改築を行おうとする建築主

■提出の時期
計画時:「建築基準法の確認申請等の日」又は「都市の低炭素化の促進に関する法律に基づく認定申請の日」のいずれか早い日まで
完了時:検査済証の発行日から30日以内