このブログを要約すると
東京都建築物環境計画書を外注した場合、資料がそろっていれば初回提出用データの作成は1~2週間程度が目安です。ただし、不足資料の確認、オンライン届出、東京都からの質疑対応まで含めると、全体で8~12週間ほどかかる場合があります。納期遅延や特急料金を避けるため、確認申請予定日の2か月以上前に相談し、図面や省エネ計算の進捗を共有することが重要です。
東京都建築物環境計画書の作成を外注するとき、「どの図面を送れば見積もりできるのか」「設備仕様が未確定でも依頼できるのか」と悩む設計会社や建築会社は少なくありません。
東京都建築物環境計画書は、単に建物概要を記入するだけの書類ではありません。建築物の省エネルギー性能、再生可能エネルギーの利用、資源の適正利用、生物多様性への配慮、気候変動への適応などについて、設計内容を根拠資料と照合しながら評価します。
そのため、外注先へ建築図面だけを送っても、計画内容を確認できる資料が不足していれば作業を進められません。本記事では、東京都建築物環境計画書の代行を依頼する際に必要となる図面や資料、準備時の注意点を解説します。
東京都建築物環境計画書は根拠図書とセットで作成する
東京都建築物環境計画書制度は、原則として延べ面積2,000平方メートル以上の建築物を新築、増築または改築する建築主を対象とした制度です。延べ面積2,000平方メートル未満の場合でも、任意で提出できます。
計画書には建築主や建物の基本情報だけでなく、環境配慮に関する取組内容と評価結果を記載します。ただし、評価欄に数値や取組内容を記入するだけでは十分ではありません。記載した内容が正しいことを、図面、仕様書、計算書、許認可関係書類などで確認できる状態にする必要があります。
東京都のFAQでも、建築物環境計画書提出書や用途別の取組・評価書に加え、チェックシート、配置図、基準階平面図、断面図、立面図などが必要とされています。さらに、評価内容を確認できる図面、仕様書、設計概要書、建築物エネルギー消費性能確保計画案なども提出資料に含まれます。
最初に準備したい建築概要の資料
外注先が最初に確認するのは、建物の所在地、用途、規模、構造、階数、工事予定などの基本情報です。これらは制度の対象になるかを判断し、用途ごとに適用される評価項目を整理するために使用します。
建築計画概要書、確認申請書の第一面から第六面、面積表などが作成済みであれば、まとめて提出するとスムーズです。確認申請書が未完成の場合でも、建物名称、建築地、主要用途、用途別床面積、延べ面積、階数、構造、着工予定日、完成予定日が分かる資料があれば、見積もりや事前確認を進められます。
複合用途の建築物では、用途ごとの床面積が重要です。共同住宅と店舗、事務所と飲食店などが混在する場合は、用途区分が分かる面積表を準備しておきましょう。
基本となる建築図面
東京都の公式FAQでは、配置図、基準階平面図、断面図、立面図が必要図書として示されています。
配置図では、敷地の形状、建物の配置、方位、接道状況、駐車場、駐輪場、緑化範囲、屋外設備などを確認します。太陽光発電設備や電気自動車充電設備を計画している場合は、設置位置が分かるようにしておく必要があります。
平面図では、用途区分、室用途、床面積、空調範囲、非空調範囲、共用部、駐車場などを確認します。複合用途の場合は、用途の境界が明確になっていることが重要です。
立面図と断面図は、建物の高さ、階高、外壁、屋根、開口部、庇、バルコニー、地盤との関係などを確認するために使います。外皮性能や日射遮蔽、屋上緑化、太陽光発電設備などの評価にも関係するため、寸法や仕様が読み取れる図面が望まれます。
矩計図や部分詳細図が完成している場合は、併せて提出すると断熱範囲や外皮仕様の確認が早くなります。
仕上表と仕様書も重要な根拠資料になる
東京都建築物環境計画書では、図面だけで判断できない材料や性能について、仕様書や仕上表を使用して確認します。東京都も、評価内容を確認できる図書として図面、仕様書、設計概要書などを挙げています。
特に確認されやすいのが、屋根、外壁、床、窓、ガラス、断熱材などの仕様です。断熱材の種類と厚さ、サッシの種類、ガラス構成、日射遮蔽性能などが分かる資料を用意します。
資源の適正利用に関する評価では、躯体や仕上材の耐久性、再生材の利用、木材の利用、長寿命化への取組などを確認する場合があります。評価対象として申告する取組については、使用材料や施工方法を確認できる仕様書、メーカー資料、認定書などが必要です。
設計図書に記載がない内容を計画書だけで評価することはできません。外注先から図面への追記を求められた場合は、設計担当者が内容を確認したうえで正式な設計図書に反映させる必要があります。
省エネ計算書と設備図面
省エネルギーに関する評価では、外皮性能や一次エネルギー消費性能を確認するため、省エネ計算書が重要な資料になります。
省エネ適合性判定を行う建築物では、建築物エネルギー消費性能確保計画の案、計算結果、入力シート、根拠図などを準備します。BELS評価書や住宅性能評価書などを取得している場合は、その評価書も有効な確認資料になります。東京都の必要書類にも、建築物エネルギー消費性能確保計画案が含まれています。
設備図面では、空調、換気、照明、給湯、昇降機、太陽光発電、蓄電池、エネルギーマネジメントシステムなどの仕様を確認します。機器表には、型番、能力、消費電力、効率、台数、設置場所などが記載されていることが理想です。
省エネ計算が未実施でも相談はできますが、その場合は東京都建築物環境計画書の作成とは別に、省エネ計算業務が必要になる可能性があります。すでに別会社へ省エネ計算を依頼している場合は、計算担当者と都環境の代行会社との情報共有方法を決めておくと、数値の不整合を防ぎやすくなります。
再生可能エネルギーに関する資料
太陽光発電設備などを設置する場合は、設備の種類、定格出力、設置位置、パネル枚数、設置角度などが分かる資料を準備します。
一般的には、屋根伏図、配置図、太陽光パネルのレイアウト図、機器仕様書、システム構成図などが使用されます。屋根面積やパネルの設置可能範囲を検討する場合は、屋根の方位、勾配、水平投影面積、塔屋や設備基礎などの除外部分が分かる図面が必要です。
東京都の関連制度でも、再生可能エネルギー設備の検討根拠として、屋根伏図に方位、勾配角度、水平投影面積などを示す方法が採用されています。
太陽光発電設備を設置しない場合でも、設置可能性の検討内容を確認されることがあります。単に「設置なし」と伝えるのではなく、設置を見送る理由や建築上の条件を外注先へ共有しましょう。
緑化・水循環に関する資料
生物多様性の保全や水循環への配慮を評価する場合は、緑化計画や雨水利用に関する資料が必要です。
緑化計画図、植栽配置図、樹木一覧表、緑化面積計算書、屋上緑化図、立面緑化の詳細図などが作成されている場合は、外注先へ提出します。緑化計画書を区市町村へ提出している場合は、その写しも有効な根拠資料になります。
雨水利用、中水利用、雨水浸透設備を計画している場合は、給排水設備図、雨水利用設備の系統図、貯留槽容量の計算書、雨水流出抑制に関する協議資料などを準備します。評価内容を確認する許認可書類の例として、緑化計画書、雑用水利用・雨水浸透計画書、雨水処理関係の協議書などが挙げられています。
EV充電設備と駐車場の資料
電気自動車やプラグインハイブリッド車の充電設備に関する評価では、駐車区画数と充電設備の設置数を確認します。配置図や駐車場平面図には、駐車区画、車路、充電設備、充電用配管、分電盤などの位置を明示します。充電器を設置する場合は、普通充電器または急速充電器の種類、出力、台数が分かる仕様書も必要です。
将来設置用の配管や電気容量を確保する計画の場合は、空配管の経路、設置予定位置、盤の容量などが図面や電気設備資料から確認できるようにします。東京都の制度では、建築物の環境性能としてEV・PHV用充電設備の設置も評価対象に含まれています。
外注前の準備リスト
依頼時には、次の資料がどこまで完成しているかを整理しておくと、見積もりと作業開始がスムーズです。
| 分類 | 主な図面・資料 | 準備時の確認事項 |
|---|---|---|
| 建築概要 | 確認申請書案、建築計画概要書、面積表 | 用途別面積、構造、階数、工期が分かるか |
| 建築図 | 配置図、平面図、立面図、断面図、矩計図 | 方位、寸法、用途区分、外皮範囲が明確か |
| 仕様関係 | 仕上表、特記仕様書、材料仕様書 | 断熱材、窓、ガラス、主要材料が確認できるか |
| 省エネ | 省エネ計算書、計算結果、根拠図、BELS評価書 | 計算中か、完了済みか |
| 設備 | 空調、換気、照明、給湯、昇降機の図面・機器表 | 型番、能力、効率、台数が分かるか |
| 再エネ | 屋根伏図、太陽光配置図、機器仕様書 | 出力、設置面積、方位、勾配が分かるか |
| 緑化・水 | 緑化計画図、緑化面積表、雨水利用資料 | 行政への届出内容と整合しているか |
| EV設備 | 駐車場平面図、充電器仕様書、電気設備図 | 駐車台数、設置台数、空配管が確認できるか |
| 手続関係 | 委任状、関連する許認可書類 | 提出者と代理人の関係が整理されているか |
すべての資料が完成するまで依頼を待つ必要はありません。まずは現時点の図面を提出し、追加で必要となる資料を外注先に確認する方法が効率的です。
図面が未完成でも早めに相談した方がよい理由
東京都建築物環境計画書は、2025年4月からオンラインによる届出となっています。
オンライン提出になっても、資料の確認や評価根拠の整理が不要になったわけではありません。図面間で面積や設備仕様が一致していない場合は、提出前に修正や確認が必要です。
また、提出後に環境性能へ影響する設計変更を行う場合は、変更工事に着手する15日前までに変更手続きが必要になることがあります。工事完了時には、工事完了日の翌日から起算して30日以内の届出が必要です。
確認申請の直前に外注すると、資料不足を解消する時間がなくなり、設計担当者、設備担当者、省エネ計算担当者の調整が集中します。基本設計または実施設計の途中で外注先へ相談し、必要な評価項目を先に確認しておくことが手戻りの防止につながります。
まとめ
東京都建築物環境計画書の外注では、配置図、平面図、立面図、断面図などの建築図面に加え、仕様書、省エネ計算書、設備機器表、太陽光発電資料、緑化計画、EV充電設備資料などが必要です。
重要なのは、資料の枚数をそろえることではなく、計画書に記載する評価内容を図面や計算書で確認できる状態にすることです。設計図書に記載されていない取組は、そのままでは評価根拠として扱いにくいため、外注先から追記や資料提出を求められることがあります。
図面がすべて完成していない段階でも、建築概要、配置図、各階平面図、立面図、断面図があれば、対象範囲の確認や概算見積もりを進められます。提出期限直前に慌てないためにも、計画初期から専門会社へ相談し、必要資料と担当範囲を整理しておきましょう。
東京都建築物環境計画書の作成代行をご相談ください
東京都建築物環境計画書に必要な資料が分からない場合も、現在そろっている図面から確認いたします。建築概要や計画中の図面をお送りいただければ、不足資料、対応範囲、作成費用を整理してお見積もりをご案内します。省エネ計算や東京都との質疑対応、変更届、完了届まで、ご希望に合わせた対応が可能です。まずは確認申請の予定日と現在の図面をご共有ください。
