都環境は「計算だけ」「評価資料だけ」という外注もできます
東京都建築物環境計画書制度についてお問い合わせをいただく中で、「申請そのものは自社で行えるのですが、計算部分だけお願いできますか?」というご相談があります。結論から言えば、このような依頼方法は可能です。当サイトでも、省エネ計算だけを依頼し、東京都のシステムへの入力や提出は設計者側で行う方法、反対に省エネ計算はすでに完了していて、東京都独自の評価資料作成だけを依頼する方法のどちらにも対応しています。
都環境の業務は一つの作業に見えますが、実際には「計算」「評価」「資料作成」「申請」という複数の工程に分けられます。そのため、社内でできる部分は自社で行い、不足している専門業務だけ外部へ出すことができます。
例えば、省エネ計算を行える担当者が社内にいない会社であれば、BEI・BPIなどの計算だけを外注し、その結果を受け取って社内で東京都建築物環境計画書を作成する方法があります。一方、省エネ適判用の計算はすでに終わっているものの、東京都建築物環境計画書制度を扱った経験がない場合には、省エネ計算結果を支給して東京都独自の評価資料作成だけを外注する方法もあります。
「都環境を外注する=最初から最後まで全部任せる」ということではありません。現在どこまで作業が終わっているかを確認し、必要な部分だけ切り出して依頼することができます。
都環境で必要になる「計算」とは何を指すのか?
都環境の計算と聞くと、省エネ計算だけをイメージする方が多いと思います。もちろん、省エネ性能は非常に重要な部分ですが、東京都建築物環境計画書制度ではそれ以外にも複数の評価項目があります。
東京都の2025年度基準では、建築物の環境配慮について「エネルギーの使用の合理化及び再生可能エネルギーへの転換」「資源の適正利用」「生物多様性の保全」「気候変動への適応」といった分野で評価を行います。省エネ関係では、建築物外皮の熱負荷抑制や設備システムの高効率化などが評価され、その根拠としてBPIやBEIなどが使われます。
非住宅建築物について東京都の制度で利用できる省エネ計算方法としては、外皮性能について標準入力法によるBPIやモデル建物法によるBPIm、一次エネルギー消費性能について標準入力法によるBEIやモデル建物法によるBEImなどが示されています。東京都は、省エネ適判等で使用したWEBプログラムの計算結果を一部の評価に活用することで、提出資料を合理化する仕組みを採っています。
つまり、すでに省エネ適判用の計算を行っている案件では、その計算結果を都環境にも活用できる場合があります。逆に、まだ省エネ計算を行っていない案件では、都環境の評価を進めるために先に省エネ計算が必要になることがあります。
BEI・BPIの計算だけを依頼することもできます
都環境の中でも外注しやすいのが、BEI・BPIなどの省エネ性能に関する計算です。
BEIは設備を含めた一次エネルギー消費性能を示す指標で、数値が小さいほど省エネ性能が高いことを示します。BPIは非住宅建築物の外皮性能を評価するための指標です。東京都の環境性能評価書でも、断熱性能はBPI、エネルギー消費性能はBEIを用いて段階評価する仕組みになっています。例えば環境性能評価書では、BPI≦0.8の場合に断熱性能の高い評価となり、エネルギー消費性能についてもBEIの値に応じて評価段階が変わります。
これらの計算は、単に建物面積を入力すれば結果が出るものではありません。外皮であれば壁・屋根・窓などの仕様、設備であれば空調、換気、照明、給湯、昇降機などの仕様を整理し、図面や機器表から必要な情報を拾って計算します。
そのため、「計画書への入力作業は社内で行えるが、省エネ計算をできる担当者がいない」という場合には、計算部分だけを外注する方法が合理的です。私たちから計算結果と必要な成果物を納品し、その結果をもとに設計者側で都環境の評価・申請を進めることができます。
省エネ計算とは別に「東京都独自の評価資料」が必要です
一方で、BEIやBPIを算出すれば東京都建築物環境計画書が完成するわけではありません。ここが都環境の実務で少し分かりにくいところです。
現在の制度では、省エネ性能に加えて再生可能エネルギー、低炭素資材、建設副産物、長寿命化、水利用、緑化、生物多様性、EV・PHV充電設備などさまざまな項目を評価します。環境性能評価書についても、断熱性能やエネルギー消費性能だけでなく、再生可能エネルギーの変換利用、電気の再エネ化率、緑の量、生物多様性への配慮、EV・PHV用充電設備などが表示項目として設定されています。
したがって、「省エネ計算だけ外注した場合」と「都環境の評価資料作成まで依頼した場合」では成果物が異なります。
| 依頼内容 | 主な作業内容 |
|---|---|
| 省エネ計算のみ | 外皮・設備情報を整理し、BEI・BPI等を算出 |
| 都環境評価資料のみ | 支給された省エネ結果や図面から東京都独自の評価項目を整理 |
| 計算+評価資料作成 | 省エネ計算から東京都独自評価まで連続して作成 |
| 計算+評価+申請 | 計画書作成、根拠資料整理、東京都への提出・質疑対応まで対応 |
設計会社側で東京都独自の評価方法を理解しているのであれば、省エネ計算だけ外注する方法で十分です。しかし、「省エネ計算は分かるが都環境の評価方法は分からない」という場合には、評価資料作成まで依頼した方が設計者側の負担を減らせます。
評価資料作成だけを依頼するケースもあります
反対に、省エネ計算は自社または別の計算会社ですでに完了しているケースもあります。この場合には、その計算結果を支給していただき、都環境の評価資料作成部分から引き継ぐことができます。
例えば、省エネ適判に提出するためのWEBプログラム計算は終わっているものの、東京都建築物環境計画書の取組・評価書を作成した経験がないというケースです。この場合、すでにあるBEI・BPIなどの結果を利用しながら、設計図書や仕様書を確認して、都環境独自の評価項目を整理していきます。
東京都の制度では、省エネ適判等で使用する省エネ計算情報を活用できる仕組みが用意されています。ただし、東京都の評価に必要な値が算出されない簡易な計算方法については利用できない場合があるため、使用した計算方法も確認する必要があります。
そのため、他社で省エネ計算を行っている案件をご相談いただく場合には、「計算済みです」とだけ伝えるのではなく、WEBプログラムの計算結果や入力データ、計算方法が分かる資料まで共有していただけると、その後の確認がスムーズです。
評価資料作成では図面から根拠を拾う作業が重要です
都環境の評価資料作成では、「この建物はこの取組をしています」と記載するだけでは十分ではありません。評価内容を裏付ける根拠が図面や仕様書等で確認できる状態にすることが重要です。
例えば緑化に関する評価であれば配置図や外構図、植栽計画などを確認します。EV・PHV充電設備であれば駐車場計画や電気設備図、再生可能エネルギーであれば太陽光発電設備等の計画資料、資材関係であれば構造・仕上仕様などを確認します。
つまり評価資料作成は、単なるデータ入力作業ではありません。複数の設計図書から必要情報を拾い、「どの評価項目を、どの資料のどこで確認できるか」を整理する仕事です。
当サイトでも、省エネ計算だけではなく、評価項目の確認、根拠資料の整理、図面確認、入力データの作成、質疑回答資料の作成支援まで対応しています。
都環境の経験が少ない設計会社の場合、この根拠資料整理に想像以上の時間がかかることがあります。そのため「計算はできるが評価資料作成に時間を取られたくない」という場合には、評価部分だけを外注する方法もあります。
計算を依頼するときに必要な図面・資料は?
計算だけを依頼する場合でも、計算対象によって必要資料が変わります。省エネ計算であれば、建築図だけでなく設備資料が重要です。
一般的には、建築概要、配置図、各階平面図、立面図、断面図、矩計図、仕上表、建具表などに加えて、空調設備図、換気設備図、照明設備図、給湯設備図、昇降機関係資料、各設備の機器表などを確認します。
一方、東京都独自の評価資料作成まで依頼する場合には、これらに加えて外構・緑化関係資料、再エネ設備資料、EV充電設備関係資料、構造・資材関係の仕様書などが必要になる場合があります。
ただし、最初からすべての資料が完成している必要はありません。実際には基本設計から実施設計の途中でご相談いただき、現在ある資料を確認しながら不足しているものを整理することもできます。
「何を送ればよいか分からない」という場合には、まず現在作成済みの図面一式をお送りいただくのが一番早いと思います。こちらで確認すれば、省エネ計算に必要な資料と、都環境独自の評価に必要な資料を分けてご案内できます。
計算だけ外注するメリットは社内の専門作業を減らせることです
都環境の申請方法や制度内容を理解している設計会社であれば、すべての業務を外注する必要はありません。むしろ、時間のかかる専門計算だけ外部へ出して、計画書への入力や申請は社内で行うという役割分担の方が効率的な場合があります。
特に非住宅建築物の省エネ計算では、設備情報の整理やWEBプログラムへの入力に一定の専門知識と時間が必要です。年に数件しか都環境案件がない会社が、そのたびに社内担当者へ計算方法を調べてもらうより、計算実務だけ専門会社へ出した方が効率的なケースがあります。
また、計算担当者を社内に常時配置する必要がないため、繁忙期や大型案件が発生したときだけスポットで外注することもできます。
私たちは「都環境なら全部外注するべき」とは考えていません。設計事務所ごとに得意な業務は違いますので、社内でできる部分はそのまま行い、専門性の高い計算や評価だけを外へ切り出す使い方でも問題ありません。
「計算だけ」の場合は依頼する業務範囲を明確にする
計算だけを外注するときに特に注意していただきたいのが、「どこまでが計算業務なのか」を見積もりの段階で明確にすることです。
例えばBEI・BPIを算出して計算結果を納品するところまでなのか、その結果を都環境の評価書へ反映するところまでなのか、図面へ根拠を記載するところまでなのか、東京都から計算内容について質疑が来た場合にも対応するのかによって、必要な作業量は変わります。
同じ「都環境計算代行10万円」という見積もりでも、計算結果だけが納品される場合と、評価資料まで整った状態で納品される場合では、設計者側に残る作業量が違います。
そのため、見積書では金額だけでなく、成果物と対応範囲を確認することをおすすめします。
計算と評価資料作成を同じ会社へ依頼するメリットもあります
部分外注ができる一方で、省エネ計算と都環境の評価資料作成を同じ会社へ任せるメリットもあります。
一番大きいのは、計算結果を別会社へ受け渡す作業がなくなることです。設計変更によって窓仕様や空調設備などが変わった場合でも、同じ会社であれば計算結果の修正と評価資料への反映を連続して行うことができます。
当サイトでは、省エネ計算と東京都建築物環境計画書の評価資料作成をまとめてご依頼いただく場合、計算担当者と計画書作成担当者が連携して進める体制としています。数値の転記ミスや図面との不整合を減らしやすくするためです。
「申請は社内でできるが、計算と評価資料作成には時間を取られたくない」という会社であれば、この範囲だけまとめて外注し、完成した資料を受け取って社内で東京都への提出を行う方法もあります。
都環境の計算・評価資料作成だけでもお見積もりできます
当サイトでは、東京都建築物環境計画書制度について、申請を丸ごと依頼する案件だけでなく、「省エネ計算だけお願いしたい」「BEI・BPIの算出をお願いしたい」「省エネ計算は済んでいるので東京都独自の評価資料だけお願いしたい」「計算と評価資料作成までお願いして、東京都への提出は自社で行いたい」といった部分的なご依頼にも対応しています。
現在お持ちの平面図、立面図、断面図、仕上表、建具表、設備図、機器表、すでに作成済みの省エネ計算結果などをお送りいただければ、どこまで作業が完了していて、どの部分をこちらで対応すればよいかを整理したうえでお見積もりします。
「都環境の申請経験はあるが省エネ計算だけ外注したい」「社内で計算担当者を確保できない」「大型・複合用途案件だけ計算を外へ出したい」「BEI・BPIから東京都独自の評価資料までまとめて作成してほしい」という設計事務所・建築会社の方も、まずは現在お持ちの資料を添えてご相談ください。必要のない業務まで含めるのではなく、計算のみ、評価資料のみ、計算+評価資料作成など、案件の状況に合わせて必要な範囲でお見積もりいたします。



